共有持分
2023.10.12
共有持分って放棄できる?手続きの流れと注意点
相続などで不動産の共有持分を所有することがあるかもしれません。しかし、共有持分の所有はさまざまなリスクやデメリットをはらんでいるため、やはり解消したいと考える人も少なくありません。共有持分の解消の手段の一つに、共有持分の放棄があります。今回は、共有持分の放棄と手続きの注意点についてご紹介していきます。
共有持分とは?
そもそも不動産の共有持分とは、複数の人が一つの不動産に対して所有権を持っている状態や各共有者の所有権の割合を示します。契約書や遺書の内容に応じて、その不動産の利用・管理に関する権利や義務が定義されます。権利者が複数存在することで、さまざまなトラブルが起こりうる可能性があります。
共有持分を所有する主なケースは?
共有持分を所有するのはどのようなケースでしょうか。例えば、海沿いの高級なマンションの一室を使いたいとします。1人で買には経済的な負担が大きく難しいと感じるかもしれませんが、友人と共同で購入・管理して別荘のように使えば現実的に感じるかもしれません。共有者間で不動産の活用方法や管理方法について相談することもできメリットに感じることもあるでしょう。
また夫婦が共同で不動産を購入し所有する場合も共有持分となります。他にも、もともと両親の住んでいた家を相続し、兄弟姉妹で所有する場合も共有持分に該当します。
共有持分のデメリットは?
共有持分の所有にはさまざまなメリットがありますが、以下のようなデメリットも見過ごしてはいけません。
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共有者間の意見の対立やトラブルが発生する可能性がある
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共有者が単独で売却や抵当権設定などを勝手に行うことができない
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共有者のうち1人でも死亡した場合に相続人が増えることで複雑化する
- 共有者のうち1人でも債務不履行に陥った場合に差し押さえの対象になる
共有持分の放棄とはどういうこと?
上記のようなデメリットにより、共有持分を手放したいと考えた場合、手段の一つとして共有持分の放棄があります。共有持分を放棄するケースをいくつか見ていきましょう
離婚により共有持分を放棄するケース
AさんとBさんは夫婦であり、共有名義で一戸建てを所有していましたが、離婚することになりました。Aさんは慰謝料の代わりに自分の持分をBさんに放棄することで離婚協議を円満に進めることにしました。基本的に持分放棄をされた側に贈与税が課税されますが、慰謝料などの損害賠償金には贈与税は課税されません。したがって贈与税は非課税となるでしょう。
遺言書により共有持分を単独名義にまとめるケース
兄弟のEさんFさんは実家を共有持分として所有し管理していました。しかし、Eさんが亡くなり遺言書にはEさんの持分をFさんに遺贈することが記されていました。この場合、共有持分は単独名義に変更可能です。
共有持分の放棄の流れ
では共有持分を放棄したい場合、どう言った手続きが必要になるのでしょうか?詳しく説明していきます。
持分の放棄に関する共有者間の合意
共有持分の放棄は、全ての共有者の同意が必要です。放棄したいと思った際は、直接告げるか、「内容証明郵便」を用いて通知することも手段のひとつです。もし、放棄に関して同意が得られない場合は、裁判所に認定申請をすることもできます。
登記申請書の作成
不動産登記所に登記の申請をします。共有不動産を管轄する法務局に必要書類と登記申請書を提出します。登記にかかる費用は、放棄する不動産の固定資産評価額に応じて変わります。
登記完了、登記識別情報の交付
手続きや審査に問題がなければ2週間ほどで登記完了証と登記識別情報が交付されます。登記が完了すると、放棄した共有者は、共有物に対する権利や義務を全て失い、受け取った共有者は、その分だけ持分が増えます。
共有持分の放棄における注意点は?
持分の放棄は、簡単に共有持分を解消できる方法として魅力的に見えるかもしれません。しかし、実際には、注意点がいくつかあります。
放棄により金銭的な利益は生じない
共有持分の放棄は無償であることが前提です。つまり、放棄する側は何も受け取らないことになります。もちろん、共有持分によるリスクや税金等から解放されるという点では利益があるかもしれませんが、放棄によって金銭的な面で利益得ることはありません。利益を得たい場合は放棄ではなく売却を検討するのが良いでしょう。
放棄のための登記の手続き
共有持分の放棄には、共有者と協力して共同で登記の手続きを進める必要があります。手続きには費用や時間がかかります。もし、登記上の手続きをしない場合は、放棄された側は第三者に対して自分が所有者であることを主張できません。また、共有者が登記に協力しない場合は、登記請求の訴訟をして請求が認容されれば単独で登記申請も可能になります。
放棄するには税務上の影響を考慮しなければならない
共有持分の放棄は税務上の影響も考慮しなければなりません。共有持分の放棄は税法上、贈与とみなされるため、放棄された側は贈与税などの納税義務を負う可能性があります。したがって、放棄された側は税務上のデメリットを把握する必要があります。
なんでも不動産買取なら共有持分の放棄の手続き不要で持分の解消が可能です
共有持分の放棄には注意が必要です。手続きも簡単に見えるかもしれませんが、実際には、共有持分に関わるすべての人が不利益を被る可能性があります。
共有持分の放棄の代わりに、持分を売却した方がトラブルを避けられ、メリットが大きくなるようなケースもあります。
なんでも不動産買取は、訳ありの不動産のプロが在籍しており、共有持分の不動産の買取が可能です。お客様は不利益を被ることなく共有持分を解消することができます。共有持分の放棄で迷っていらっしゃる方や共有持分の解消を検討されている方はぜひお気軽にご相談ください。