共有持分
2024.02.05
共有持分の基礎知識|トラブル事例や売却方法、売却時の必要書類とは
共有持分は一つの不動産を複数人で所有する際に、それぞれが持つ所有権割合のことを指します。共有持分にはトラブルがつきもので、売却の手続きもややこしいです。そこで今回は、共有持分に関するトラブルの事例と必要書類についてご説明します。
共有持分とは?
例えば夫婦で一戸建てを購入して均等に所有している場合、土地と建物それぞれの共有持分は夫婦で2分の1ずつです。また、均等でなくても一方の持分割合が3分の2、もう一方が3分の1となるケースもあります。共有持分の割合は登記する必要があり、登記簿謄本を確認すると所有者名義と持分割合が記載されているのが一般的です。共有持分が発生する主なケースとしては、前述のように夫婦などで共同で購入した場合や、相続により親子や兄弟間で配分された場合、区分マンションの敷地権などが挙げられます。共有持分を持つ人は、共有物に対して以下の3つの権利を有します。
- 変更(処分)行為・・・売却、贈与、増・改築、解体など
- 管理行為・・・賃貸借契約の締結や解除、賃料の減額、共有物の共同利用方法の決定など
- 保存行為・・・修繕、無権利者への明け渡し請求、法定相続による所有権移転登記など
共有持分を持つ人は上記の権利を有していますが、単独で決断できるものから共有者全員の合意が必要なケースもあるため注意が必要です。基本的に「保存行為」は単独で判断が可能、「管理行為」は共有者の持分価格の過半数の合意が必要、「変更(処分)行為」は共有者全員の合意が必要となります。一般的に共有物の売却は「変更(処分)行為」にあたるため共有者全員の合意が必要となりますが、「共有持分」そのものを売却することは単独の権利なので、ほかの共有者の合意は必要ありません。一つの不動産を複数人で共有している場合、不動産の売却を単独の判断で行うことはできませんが、自身が所有する共有持分を売却し、本人のみ名義が変わる分には問題ないということです。共有持分の売却は通常の不動産売却とは異なるため、売却する際はさまざまな点に注意しましょう。
共有持分の契約に必要な書類
不動産の共有持分を売却する際は、以下のような書類の準備が必要です。
- 権利証(登記識別情報)
- 土地測量図および境界確認書(土地の場合)
- 固定資産税評価額がわかる証明書
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 住民票
- 実印
- 委任状(必要に応じて)
基本的には共有持分の権利者に関する書類が多いため、ほかの共有者に求める書類はありません。権利証や土地測量図などは、紛失していても再発行や作成し直しができるため心配は要りませんが、費用がかかるため保管しておくようにしましょう。また、共有持分の売却は法律的観点での判断や解釈が難しいケースもあるため、信頼できる不動産会社や税理士、弁護士などの専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。
共有持分に起こり得るトラブル事例
不動産に限らず、共有持分は度々トラブルに発展するケースがみられます。特に不動産の売却にともなうトラブルは多く、共有者が親族の場合は関係の悪化にもつながるため注意が必要です。代表的な事例を挙げてご紹介します。
【事例①】共有物である不動産の活用方法が一致していない
遺産相続によって一つの不動産を複数の相続人が共有して引き継ぐ場合、それぞれ異なる活用方法を考えるのは珍しくありません。売却してまとまった現金がほしいと考える方や、建物を新たに建築して賃貸経営を行いたいと考える方、古家をリフォームして暮らしたいと考える方などさまざまです。共有者間で協議して考えが一致すれば良いですが、スムーズにいかない場合がほとんどです。先述のとおり、売却や増改築など共有物の変更行為は、共有者全員の同意が必要なため、一致しない限り身動きが取れない状態になってしまいます。時間をかけすぎると相続税などの出費にもつながるため、早めの問題解決が重要といえるでしょう。
【事例②】身内でない第三者に共有持分を売却
共有持分を単独で売却することは可能ですが、その場合多くのトラブルが考えられます。例えば、自分の共有持分を友人に売却した場合を考えてみましょう。親戚同士であれば問題なくとも、他人同士では連絡がつきにくかったり、意思疎通が取れなかったりして関係が拗れる可能性があります。第三者に勝手に売却したことをとがめられ、親戚間の関係性にヒビが入ることもあり得ます。
トラブルを回避するには
共有持分は、共有者と考えが一致している状態であればトラブルにはなりません。しかし、共有状態が長く続けば生活環境が変わり考え方も変わってくるため、リスクが増えて親族間でも揉め事に発展してしまうことがあります。トラブルを回避するには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 不動産の共有状態を解消する
- 共有持分を専門の買取業者に売却する
不動産の共有関係であることが、トラブルに発展する大きな要因です。トラブルを未然に防ぐには、共有状態をできるだけ早く解消することが重要です。相続のケースであれば、そもそも遺産分割の時点で共有名義にせず、代表者の単独名義にして売却益を相続人で分けるようにすることができます。また、共有持分がすでにある状態でトラブルを避けたい場合は、専門の買取業者に売却するのも良いでしょう。売却方法はさまざまありますが、共有持分を専門とする業者であれば実績もあるため、トラブルを最小限に抑えるよう対応してくれる可能性があります。共有者が多いほど権利関係が複雑になり考えが一致しにくくなるため、二次相続などが起こる前に、早め早めの対応が必要です。
共有持分を売却する方法
共有持分を売却する方法として挙げられるのは、主に以下4つの方法です。
- ほかの共有者に売却
- 第三者に売却
- 不動産を分割して売却
- 共有者全員で売却
ほかの共有者に売却
自身の共有持分を、ほかの共有者に売却する方法があります。すでに共有持分を持つ共有者であれば、持分割合が変わるだけなので第三者と比べて購入することに大きな抵抗はないでしょう。また、共有者は親族である場合が多いため、条件面の交渉がしやすく売却に手間がかからない点も魅力です。
第三者に売却
ほかの共有者や身内ではなく、第三者に自身の共有持分を売却する方法です。売却自体は可能ですが、購入を希望する第三者を見つけることが難しいうえに、売却価格が市場よりも大幅に下がる可能性があること、ほかの共有者とトラブルに発展しやすいことを理解しておかなければなりません。
不動産を分割して売却
不動産が土地のみの場合は、土地を共有者の人数分に分割して単独所有となる状態にすることが可能です。売却前に手続きが必要になりますが、分割して自身の単独所有となった不動産を売却する方法もあります。不動産が共有名義でなくなるため売却しやすくなるメリットはありますが、分割に費用がかかるほか、分割後の土地の状態が売却しやすい条件になるかはわかりません。
共有者全員で売却
共有者全員の同意を得て、共有物である不動産を売却する方法があります。共有不動産の売却方法として、最も一般的な方法といえるでしょう。共有者が複数人いる場合でも一つの不動産として売却できれば市場価格で売却しやすいため、共有者一人ひとりが得られる利益も多くなります。
共有持分の売却は専門家への相談が必須
不動産に関する共有持分の売却は、単独の売却とはいえ共有者にとって弊害になることもあるため、さまざまなトラブルに発展する可能性があります。不動産や法律の知識が浅い当人同士での話し合いでは解決しないことも多いため、専門家への相談がおすすめです。トラブルを未然に防ぎ、共有者全員にとって最善の解決策を提案してもらえるでしょう。共有持分の売却でお困りの際は、専門プロが多数在籍するなんでも不動産買取にお任せください。