
底地
2024.09.22
底地物件の相続で失敗しない!専門家が教える相続税対策と賢い土地活用法
底地物件を相続したことで相続税の負担に悩まれる方は多いです。底地は更地と比べて評価額が低くなる特徴がある一方で、相続税対策を誤ると大きな負担となる可能性があります。この記事では、底地の定義や相続時の注意点といった基礎知識から専門家が分かりやすく解説します。
底地とは何か?相続前に知っておくべき基礎知識

底地とは、建物の所有権と土地の所有権が分離している場合に、建物の下にある土地のことを指します。つまり、土地の所有者と建物の所有者は別人ということです。借地権と対になる概念であり、借地権者が土地を借りて建物を所有しているのに対し、底地所有者は土地を貸している状態です。
底地の定義と特徴
法律上、底地は「借地権の目的となっている土地」と定義されています(民法第269条)。底地には以下のような特徴があります。
特徴 | 解説 |
---|---|
土地の使用収益権が制限される | 借地権者が土地を使用収益しているため、底地所有者は自由に土地を使用したり収益を得たりすることができません。 |
固定資産税の軽減措置 | 底地には、固定資産税評価額を減額する特例措置があります。 |
更新料 | 借地人が地主に支払う地代 |
売却が難しい場合がある | 借地権が設定されているため、底地所有者の意思だけで自由に売却することが難しい場合があります。 |
地代収入がある | 借地権者から地代を受け取ることができます。地代の額は契約によって定められます。 |
底地を相続する際の問題点
底地を相続する際には、いくつかの問題点に注意する必要があります。相続税評価額が高くなる可能性があること、換金性が低いこと、共有状態になりやすいことなどが挙げられます。相続税評価額は、更地の場合と比べて高くなる傾向があります。これは、借地権割合を考慮して評価額が算出されるためです。また、借地権が設定されている土地は売却が難しいため、相続税の納税資金を確保するために急いで売却しようとすると、不利な条件で売却せざるを得ない可能性があります。さらに、底地は分割しにくい性質があるため、相続によって共有状態になりやすいという問題もあります。共有状態になると、土地の管理や処分が複雑になり、将来的なトラブルに発展する可能性も考えられます。そのため、相続前に適切な対策を講じておくことが重要です。
これらの問題点を理解した上で、専門家への相談や適切な対策を検討することで、底地相続によるリスクを軽減し、円滑な相続を実現することが可能になります。詳しくは国土交通省のウェブサイトなども参考にしてください。
底地における相続税評価額の仕組み

底地を相続する際、その相続税評価額がどのように算出されるかを理解することは、適切な相続税対策を講じる上で非常に重要です。底地の評価額は、更地とは異なる独自の評価方法が用いられます。この章では、底地における相続税評価額の仕組みについて詳しく解説します。
底地の相続税評価額はどうやって決まる?
底地の相続税評価額は、原則として「路線価方式」または「倍率方式」によって算出されます。どちらの方式が適用されるかは、土地の状況によって異なります。路線価方式とは、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格(路線価)を基に、評価対象地の面積や形状などを考慮して評価額を算出する方法です。一方、倍率方式とは、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価額を算出する方法です。一般的に、市街地の底地は路線価方式、地方の底地は倍率方式で評価されることが多いです。底地の場合、更地とは異なり、借地権が設定されているため、その借地権の割合に応じて評価額が減額されます。これを「借地権割合」といいます。借地権割合が大きいほど、底地の評価額は低くなります。この借地権割合は、借地権の種類や期間、地域などによって異なります。詳しくは後述する「借地権割合の調整」の項で解説します。
路線価方式と倍率方式
それぞれの方式について、詳しく見ていきましょう。
・路線価方式
路線価方式は、国税庁が公表する路線価図に基づいて評価額を算出します。路線価は、毎年7月1日時点の土地の価格を基に算定され、翌年1月1日以降に発生する相続や贈与に対して適用されます。路線価方式による底地の評価額の算出式は、以下のとおりです。
底地の評価額 = 路線価 × 面積 × 補正率 × (1 - 借地権割合)
ここで、補正率とは、奥行、間口、形状などの土地の個別的要因を考慮するための係数です。これらの要素によって、評価額が増減することがあります。
・倍率方式
倍率方式は、市町村が評価した固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価額を算出します。この倍率は、地域や土地の利用状況によって異なります。倍率方式による底地の評価額の算出式は、以下のとおりです。
底地の評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率 × (1 - 借地権割合)
倍率は、国税庁が定めた基準に基づいて各都道府県が決定します。固定資産税評価額は、3年に一度見直されます。
評価方式 | 算出方法 | 適用される土地 |
---|---|---|
路線価方式 | 路線価 × 面積 × 補正率 × (1 - 借地権割合) | 主に市街地の底地 |
倍率方式 | 固定資産税評価額 × 倍率 × (1 - 借地権割合) | 主に地方の底地 |
どちらの方式で評価されるかは、土地の所在する地域や状況によって異なります。相続税の申告にあたっては、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
底地の相続税対策、具体的な方法

底地を相続する際、高額な相続税の負担は大きな悩みの種となります。この章では、底地特有の相続税対策について、基本的な考え方から具体的な方法まで詳しく解説します。
相続税対策の基本的な考え方
相続税対策の基本は、「相続税評価額を下げること」と「納税資金を準備すること」です。底地の場合、更地と比べて評価額が低くなる傾向がありますが、それでも高額になるケースは少なくありません。そのため、様々な対策を講じる必要があります。相続税対策は早めに行うことが重要です。相続発生直前では対策が限られてしまうため、余裕を持って計画的に進めましょう。また、税理士などの専門家に相談することで、より効果的な対策を立てることができます。
底地特有の相続税対策
底地には、更地にはない特有の相続税対策があります。以下で詳しく見ていきましょう。
・借地権割合の調整
底地の相続税評価額は、借地権割合によって大きく変動します。借地権割合とは、底地の評価額における借地権の割合を示すものです。この割合が高いほど、底地の評価額は低くなります。借地権割合を高くするためには、借地権者との合意に基づいて、借地契約の内容を見直す必要があります。例えば、借地期間を延長したり、借地料を減額したりすることで、借地権割合を高めることができます。ただし、借地権者との交渉が必要となるため、慎重に進める必要があります。詳しくは国税庁ウェブサイトをご確認ください。
・底地の有効活用
底地を有効活用することで、相続税評価額を下げることができます。代表的な活用方法としては、以下のようなものがあります。
活用方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
アパート経営 | 相続税評価額の減額効果が高い | 初期投資費用がかかる、経営リスクがある |
駐車場経営 | 比較的簡単に始められる | 収益性は低い |
定期借地権の設定 | 更地化しやすくなる | 借地権設定に一定の費用がかかる |
どの活用方法が最適かは、個々の状況によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを考慮し、慎重に検討する必要があります。底地を有効活用する際には、事前に専門家へ相談することが重要です。税理士や不動産鑑定士など、それぞれの専門家の意見を聞きながら、最適な方法を選択しましょう。
底地を賢く活用する方法

底地を相続したものの、有効活用できていない、またはどのように活用すれば良いか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。底地には様々な活用方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。最適な活用方法は、相続税対策、資金状況、更には将来設計などを総合的に考えて判断する必要があります。ここでは、底地の主な活用方法を解説します。
更地化による売却
底地を更地にして売却する方法です。更地にするためには、借地人との交渉が必要になり、借地権の買取や等価交換などが考えられます。借地権の買取では、相応の資金が必要となります。等価交換は、土地の一部を借地人に譲渡する代わりに更地にする方法です。いずれも、借地人との合意形成が不可欠です。更地化による売却のメリットは、まとまった資金を一度に得られることです。デメリットは、譲渡所得税が発生する可能性があることです。また、更地化に時間と費用がかかる場合もあります。
アパート経営、駐車場経営
底地の上にアパートや駐車場を建設し、経営する方法です。安定した収益を得られる可能性がありますが、初期投資やランニングコスト、更には空室リスクなども考慮する必要があります。また、借地人がいる場合は、借地権を買い取る必要があります。
・アパート経営
底地を活用したアパート経営は、更地に比べて借地権の処理が不要な場合があり、初期費用を抑えられる可能性があります。ただし、借地人の承諾を得る必要があり、賃料収入の一部を地代として支払う契約が必要です。
・駐車場経営
底地を活用した駐車場経営は、アパート経営に比べて初期投資が少なく、手軽に始められることがメリットです。ただし、収益性はアパート経営に比べて低い傾向があります。また、需要を見極めた上で立地条件を考慮する必要があります。
定期借地権の設定
底地に定期借地権を設定し、土地を貸し出す方法です。定期借地権とは、あらかじめ定められた期間が満了すると、更地にして土地を返還する契約です。更地化による売却が容易になるメリットがあります。
活用方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
まとまった資金を一度に得られる | 譲渡所得税の発生、更地化の時間と費用 | |
アパート経営 | 安定した収益 | 初期投資、ランニングコスト、空室リスク |
更新料 | 借地人が地主に支払う地代 | 更新料が高いほど底地の価値は高くなる |
駐車場経営 | 初期投資が少ない、手軽に始められる | 収益性が低い、需要と立地条件の考慮が必要 |
定期借地権の設定 | 更地化による売却が容易 | 期間満了後の土地利用の制限 |
底地の活用方法は、それぞれメリット・デメリットがあります。相続税対策、資金状況、更には将来設計などを総合的に考えて、最適な活用方法を選択することが重要です。専門家である税理士や不動産コンサルタントに相談することで、より適切なアドバイスを受けることができます。
まとめ

底地を相続する際には、相続税評価額の仕組みや特有の対策を理解することが重要です。底地は更地と異なり、借地権の存在によって評価額が軽減される可能性があります。借地権割合の調整や底地の有効活用によって、相続税負担を軽減できる場合があります。収益性が低い、需要と立地条件の考慮が必要相続人の状況や土地の特性に合わせて最適な方法を選択する必要があります。底地の相続と活用は複雑な問題を伴うため、専門家のアドバイスを受けることが大切です。底地に関するご相談はなんでも不動産買取までお気軽にお問い合わせください。